骨粗鬆症と骨折予防
2025/05/05
~転倒から守るために、今できること~
年齢とともに気になってくる「骨の健康」。特に女性や高齢の方に多くみられるのが、「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」です。
「ちょっと転んだだけで骨折してしまった」 「最近、背中が曲がってきた気がする」 そんなお声を聞くことも少なくありません。
今回は、骨粗鬆症の基礎知識や転倒・骨折の予防法、そして訪問看護がどのように関わっているのかについて、わかりやすくご紹介します。
骨粗鬆症とは?
骨粗鬆症とは、骨の密度(骨密度)が低下してスカスカになり、骨がもろく折れやすくなる病気です。
加齢とともに進行しやすく、特に女性は閉経後に女性ホルモン(エストロゲン)が急激に減少することで、骨密度の低下が加速します。
また、痩せている方、運動習慣の少ない方、喫煙や過度の飲酒がある方、ステロイド薬を長期間使用している方もリスクが高いとされています。
よくある骨折部位:
・手首(橈骨遠位端骨折)
・背骨(圧迫骨折)
・大腿骨の付け根(大腿骨頸部骨折)
特に背骨や大腿骨の骨折は、入院や寝たきりの原因になりやすく、回復までに時間がかかることがあります。高齢者の骨折は、その後の生活全体に大きく影響するため、「折れない体づくり」と「転ばない工夫」の両方が重要になります。
骨粗鬆症の原因と予防法
●主な原因:
・加齢
・閉経後のホルモンバランスの変化
・カルシウムやビタミンD不足
・運動不足
・喫煙.過度の飲酒
一部の薬剤(ステロイドなど)
●予防のポイント:
・カルシウム.ビタミンDを含む食事(牛乳、ヨーグルト、大豆製品、小魚、きのこ類など)
・日光浴(ビタミンDの合成を促す)
・適度な運動(散歩、スクワット、階段の昇降など)
・骨密度検査の定期的な受診
予防は、できるだけ早い段階から始めることが大切です。特に60歳を過ぎたら、1度は骨密度検査を受けて現状を把握しておくことをおすすめします。
骨折を防ぐには「転ばない工夫」も重要
骨がもろくなると、「転ばないこと」そのものが重要な予防になります。
訪問看護では、以下のような多角的なサポートを行っています。
● 環境整備のアドバイス
・家の中の段差や滑りやすい場所の確認
・トイレやベッドの近くに手すりを設置する提案
・室内照明を明るくして夜間の転倒予防
・玄関マットのズレやコード類の除去、スリッパの見直し
環境の“ちょっとした変化”が、転倒防止につながることも多いです。
● 身体機能の維持・向上支援
・下肢筋力を保つための簡単な運動の提案
・バランス感覚を養う体操(かかと上げ・片足立ちなど)
・起立時のふらつき確認と動作時の見守り
・椅子からの立ち上がり練習、ストレッチ習慣の提案
訪問リハビリと連携して、継続的な運動支援も行うことがあります。転倒予防は、筋力と「反応力(とっさの動作)」を保つことがカギになります。
● 服薬管理と医療連携
・骨粗しょう症治療薬(ビスホスホネート、注射薬など)の内服、注射の管理
・ビタミンDやカルシウム製剤の使用状況確認
・主治医との情報共有で副作用や治療継続の確認
薬を自己判断で中断してしまうと、骨密度の回復が止まってしまうことがあります。継続できる仕組みづくりも大切です。
ご家族と一緒にできること
骨折のリスクが高いご家族を支える上で、日常的に取り入れたい工夫があります。
・靴下に滑り止め付きのものを選ぶ
・寝室.トイレなど動線上に足元灯を設置
・イスやベッドの高さを調整して立ち上がりやすくする
・カーペットやマットのめくれを整える
・転倒歴があれば、再発防止の対策を話し合う
また、「転んだのに痛がらない」というケースでも、背骨の圧迫骨折などが疑われることがあります。気になる様子があれば、早めの受診をおすすめします。
訪問看護だからこそできるサポート
訪問看護では、定期的な健康チェックに加え、ご本人の生活動作や住環境を直接見ながらケアを提供できる強みがあります。
・ご本人の動きのクセや生活習慣を把握し、転倒リスクを予測
・ご家族と一緒に「できること・難しいこと」を共有
・必要に応じてケアマネジャーや福祉用具業者と連携
「できることを増やす」のではなく、「今ある力を安全に続ける」視点を大切にしています。
骨粗鬆症は、加齢に伴って誰でも起こりうる身近な病気です。しかし、食事・運動・住環境の工夫と、必要な治療を適切に続けていくことで、骨折のリスクをぐっと減らすことができます。一度の転倒が、生活の質を大きく下げてしまうこともあるからこそ、「今できる予防」が重要です。骨粗鬆症や転倒が心配な方、在宅生活での不安がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。 訪問看護が、暮らしの安全と健康を一緒に守ってまいります。


