「デイサービス行きたくない」の裏にある気持ち
2025/06/06
「明日はデイの日よ」と声をかけると、「今日はやめとく」「行かなくていい」と、はっきり断られてしまう。 そんなやり取りに、心あたりはありませんか? ご家族としては、日中安心して過ごしてもらいたい気持ちと、 ご本人の反応とのあいだで、戸惑ったり、悩んだりされることと思います。 今回は、“行きたくない”の背景にある気持ちに寄り添いながら、 ご本人とご家族、両方が安心して過ごせるためのヒントを、訪問看護の視点からお伝えします。
「なんで嫌がるの?」ではなく「なにがあるのかな?」
デイサービスには、食事や入浴、レクリエーションなど、在宅生活を支えるさまざまなサービスが揃っています。
けれど、「行ったら楽しそうなのに、行くまでが大変…」という方は、実は少なくありません。
ご本人の「行きたくない」という気持ちは、
決してワガママやわがままではなく、理由のある“サイン”です。
まずは、その背景にあるかもしれない“本音”に目を向けてみましょう。
行きたくない…その裏にある5つの気持ち
① 体調が本当は優れない
・少し頭が重い
・便秘ぎみでお腹が張っている
・関節が痛い、腰がつらい
・夜眠れず、朝だるい
こうした体調の変化は、ご本人がうまく伝えられないこともあります。「ただ疲れてるだけ」と言いながら、本当は何か我慢しているかもしれません。
② 服を着たり準備するのがしんどい
「お風呂に入るから」「清潔にしなきゃ」と気を張って、服選びや身だしなみに気をつかっている方も少なくありません。とくに女性は、「人前に出る」と思うだけで緊張してしまうこともあります。
③ 周囲に気をつかって疲れてしまう
・誰と話せばいいかわからない
・声が聞き取りにくくて会話についていけない
・若いスタッフが多くて緊張する
そうした空間に身を置くだけで、“社会的な疲労”がたまってしまう方もいます。
④ 「自分は元気じゃない」と思い知らされる
デイサービスは、高齢者同士が交流する場所でもあります。そこで他の利用者と比べてしまい、「自分はもうだめだな…」「迷惑をかけている」と感じてしまうケースも。特に、失語症や認知症のある方は、うまく関われない自分を責めてしまうことがあります。
⑤ 「行きたくない」と言えば家にいられる
体力もあり、言葉も出るけれど、「今日は気が乗らない」だけかもしれません。それでも、「休む」と言えば家族が心配してくれる、優しくなる。そんなふうに、無意識に“家にいたい気持ち”を伝えている場合もあります。
ご家族ができることは、「無理に行かせる」ことじゃない
「行ってくれたほうが安心」
「家にいたら動かなくて余計に心配」
そんなご家族の気持ちは、よくわかります。
けれど、無理に促しても、お互いにとってつらい時間になることもあります。
では、どうすればいいのでしょうか?
訪問看護ができる、デイサービスイヤイヤ対策
私たち訪問看護師は、「行きたくない」という気持ちを否定せず、
次のような視点で関わるようにしています。
◆ “本音”を聞き取る
「どうして行きたくないの?」ではなく、「今日はなんだか気が乗らない感じ?」「どこか痛いところあるかな?」
と、否定しない言葉で問いかけるようにしています。
すると、ご本人が「実は昨日から腰がつらくて…」「人が多くて疲れる」など、少しずつ本音を教えてくれることもあります。
◆ 体調チェックで「安心材料」をつくる
「熱もないし、血圧も大丈夫そうですね。お腹の調子もよさそうです」
と、体の状態を一緒に確認すると、ご本人も安心して行く気持ちになることがあります。また、「今日は短時間だけでも行ってみましょうか?」と“全部じゃなくてもいい”提案をすることもあります。
◆ デイスタッフやケアマネとの情報共有
ご本人が行きたがらない理由を、ご家族だけで抱え込む必要はありません。
訪問看護師が間に入って、
・デイのスタッフに配慮してもらう
・席の場所や活動内容の調整をしてもらう
・入浴の有無を変更してもらう
といった対応を一緒に考えていくことができます。
ご家族に伝えたい「行かない日」もあっていいということ
毎回きちんと通うことが理想のように思えるかもしれませんが、
実は“休むこと”が悪いわけではありません。
・疲れているなら休む
・気持ちが整うまで待つ
・「今日はお休みにしたんだね」と受け入れる
そんな日もあってよいのです。大切なのは、「本人の気持ちに寄り添って、必要なときは支える」こと。訪問看護は、その“支える”部分を一緒に担いながら、
ご本人とご家族の両方が無理なく過ごせる毎日をサポートします。
「行きたくない」と言われたとき、 ついイライラしたり、がっかりしてしまうこともあるかもしれません。 でも、その言葉の裏には、 「伝えきれない気持ち」や「ささやかな抵抗」が隠れていることがほとんどです。どうか、ひとりで抱え込まずに、「なにかあるのかな?」と、そっと気持ちをくみとってあげてください。私たち訪問看護師は、ご本人の小さな気持ちとご家族の大きなやさしさをつなぐ橋渡し役として、今日も寄り添います。


