高齢者の皮膚トラブルに注意! ~汗疹・湿疹・かぶれなどの皮膚ケア、入浴や清拭のポイント~
2025/06/23
梅雨から夏にかけての高温多湿な季節は、皮膚トラブルが増える時期です。特に高齢者は皮膚のバリア機能が低下しており、汗疹(あせも)や湿疹、かぶれなどが起きやすくなっています。肌のトラブルは不快感だけでなく、かゆみによる不眠や掻き壊しによる感染症の原因にもなります。
今回は、訪問看護の現場でよく見られる高齢者の皮膚トラブルとその予防・ケアについて、わかりやすくご紹介します。
高齢者の皮膚はなぜトラブルが起きやすい?
高齢になると、皮膚の水分量や皮脂分泌が減少し、乾燥しやすくなります。そのうえ、
・皮膚が薄くなり刺激に弱くなる
・免疫力が低下し、炎症が起きやすくなる
・血行不良により回復が遅れる
といった理由で、ちょっとした刺激でも赤みやかゆみ、ただれにつながりやすくなります。また、寝たきりや運動量の少ない方は汗をかきにくくなる一方で、皮膚が蒸れてしまいやすく、皮膚のふやけやすれによるトラブルも見られます。
よく見られる皮膚トラブルとそのサイン
● 汗疹(あせも)
汗腺が詰まり、皮膚の中に汗がたまることで起きる炎症。首元や背中、肘の内側など汗のたまりやすい場所に小さな赤いブツブツが見られます。
● 接触性皮膚炎(かぶれ)
尿や便、オムツのゴム部分などによる刺激や、湿った環境によって起きる皮膚炎。おむつかぶれのように、皮膚が赤くただれてしまうこともあります。
● 湿疹・乾燥性皮膚炎
皮膚が乾燥することでかゆみが強くなり、掻きむしって湿疹が悪化。特にすねや背中などに起きやすく、入浴後にかゆみが強くなる傾向があります。
訪問看護の現場での支援例
訪問看護では、次のような工夫をしながら皮膚トラブルの予防とケアを行っています。
● 清潔の保持
入浴や清拭の際に皮膚を優しく洗い、汗や皮脂汚れをしっかり落とすことが基本です。
ただし、ゴシゴシこすらず、泡で包み込むように洗うのがポイント。
清拭の場合も、温かいタオルで肌をやさしく拭き取り、必要に応じて保湿を行います。
例:
ある80代の女性利用者様は、足の指の間に湿疹ができていました。よく話を聞くと、「暑いから靴下は履かない。でも冷房が寒くてスリッパを履いている」とのこと。訪問時に足指のケアと保湿、履き物の工夫(通気性の良いスリッパ)を提案したところ、数日で症状が改善しました。
● 保湿とスキンケア
入浴や清拭後には、すぐに保湿剤を塗ることで皮膚のバリア機能を保ちます。
高齢者の肌は特に乾燥しやすいため、こまめな保湿が大切です。保湿剤は、べたつきが少なく塗りやすいローションタイプや、炎症がある場合には皮膚科処方の軟膏などを使用します。
● 観察と医療連携
皮膚に赤みや湿疹が見られた場合、悪化しないうちに記録し、必要に応じて医師に報告します。訪問時に皮膚状態をチェックすることで、早期発見・早期対応が可能になります。
入浴・清拭時のポイント
・入浴は週に2~3回が目安。体調が安定していれば毎日でもOK。
・清拭は、汗をかきやすい部位(首・わき・背中・股・足)を重点的に。
・お湯の温度は38~40度。熱すぎると皮膚を刺激して乾燥を悪化させます。
・入浴後すぐに保湿剤を塗ることで乾燥を防止。
「こすらず洗う」「すぐに保湿する」など、ちょっとした工夫が皮膚トラブルの予防につながります。
ご家族ができる日常の工夫
・おむつやパッドはこまめに交換し、通気性を保つ
・吸湿性、通気性の良い衣類を選ぶ
・タオルやシーツを清潔に保ち、汗を吸いやすい素材に
・エアコンや扇風機を活用し、蒸れを防ぐ
また、以下のようなNG対応にも注意が必要です:
・汗をかいたまま放置する(皮膚がふやけてトラブルのもとに)
・赤みやかゆみを「大したことない」と放置する
・かゆがっているときに掻くのを止めずに放置
・熱いお湯で洗いすぎる
皮膚は小さな変化にも敏感です。日頃の観察と早めの対応が、トラブルの予防につながります。
高齢者の皮膚はちょっとした刺激でも傷つきやすく、湿気や汗によってトラブルが起こりやすい状態にあります。しかし、日々のケアとちょっとした気づきで、未然に防げるケースも多くあります。
訪問看護では、体調だけでなく皮膚の状態にも細かく目を配り、入浴・清拭・保湿などを通じて、ご本人が快適に過ごせるようサポートしています。
ご家族が「なんだか赤くなってるな」「最近かゆがるようになった」など小さな異変に気づいたときは、ぜひ訪問看護師にご相談ください。
この夏も、安心・快適に在宅生活を送れるよう、肌のトラブルにしっかり備えていきましょう。


