冷房だけじゃない、涼しく過ごすための工夫
2025/08/15
年々暑さが厳しくなる日本の夏。
特に高齢者にとっては、体温調節機能の低下や持病の影響から、
熱中症や脱水症状のリスクが高くなります。
しかし「冷房は体に悪い」「風が当たるとだるくなる」といった理由で、
冷房の使用を控える方も少なくありません。
実際、訪問看護の現場でも、
冷房をつけていない室温30度超えの部屋でケアを行うことがあります。
ご本人の体調はもちろん、ケアを行う側にとっても過酷な環境で、
適切な温度管理の必要性を実感する場面は多いです。
今回は、冷房が苦手な方にも取り入れやすい、
冷房に頼りすぎない“涼しく快適に過ごすための工夫”をご紹介します。
なぜ高齢者は冷房が苦手なのか?
高齢者が冷房を嫌う理由としてよく聞かれるのは、
・冷えると関節が痛くなる
・のどが乾燥する
・体にだるさが残る
・昔は扇風機だけで十分だった
といったもの。
実際、冷房による温度差や風が不快に感じられることもありますし、
長時間冷房の風に当たり続けることで、体調を崩す方もいます。
しかし、35度を超える日が続く中で冷房を使わない生活は、命に関わることもあるため、
「冷房を使わずに快適に過ごせる工夫」と「冷房を使うことへの抵抗感を減らす工夫」の
両方が必要になります。
冷房を快適に使う工夫
「冷房が嫌い」という方でも、次のような工夫を取り入れることで、
快適さを保ちながら冷房を使うことができます。
・風が直接当たらないように風向きを調整
・サーキュレーターで空気を循環させる
・設定温度を28度前後にして“冷やしすぎない”
・湿度を下げることで体感温度を下げる(除湿モードの活用)
・タイマー機能を使って夜間の冷えすぎを防ぐ
訪問先でも、
・タイマーで1〜2時間だけつけている
・昼間だけ使って夜は切っている
という方が多いですが、夜間でも熱中症のリスクがあるため、
“寝苦しさを防ぐ快適さ”を重視することが大切です。
冷房以外で涼しく過ごすための工夫
● 服装と素材の工夫
・吸湿性.通気性の高い素材(綿、麻など)を選ぶ
・体を締め付けないゆったりした服を着る
・衣服内に風を通すようにする(重ね着を避ける)
・首元や脇、太ももなどの“熱がこもりやすい部分”を冷やす
● 住環境の工夫
・窓の外にすだれやよしずを設置して直射日光を遮る
・遮光カーテンを使って室内の温度上昇を防ぐ
・打ち水を行い、玄関周りやベランダの熱を下げる
・朝や夜の涼しい時間帯に窓を開けて風を通す
● 冷却グッズの活用
・冷感タオル、保冷剤、アイスノンなどを活用
・脇や首筋に冷却ジェルを当ててクールダウン
・足湯の逆で、足冷しを行う(冷たい水で足を冷やす)
・冷感寝具(ひんやりシーツや枕カバー)を使用
冷房が苦手な方でも、こうした工夫を取り入れることで、
室温を大きく下げずに体感温度を快適に保つことができます。
水分補給と食生活も大事なポイント
暑さ対策では、室温管理だけでなく水分補給や食事の工夫も欠かせません。
・こまめな水分補給(のどが渇く前に)
・麦茶、ほうじ茶、経口補水液などを常備
・スイカ、キュウリ、トマトなど水分の多い夏野菜を活用
・そうめんや冷奴など、食べやすくて冷たい食事もOK
ただし、「冷たいものばかりでお腹を冷やしすぎる」のも夏バテの原因になります。
「食事が進まない」「冷たいものばかり食べてお腹の調子が悪い」などの様子があれば、
訪問看護師やかかりつけ医に相談してみてください。
訪問看護の視点:私たちにとっても快適な環境は大切です
訪問看護では、ご利用者様のご自宅に伺ってケアを行います。
夏場は車移動の時点で暑く、訪問先の室温が高いと、
・利用者様自身の体調悪化のリスク
・ケアスタッフの集中力や体力の低下
など、双方にとってよくない環境になります。
「汗だくで訪問リハビリを受けたけど、本人が疲れて食欲が落ちてしまった」
などのケースもあるため、「暑いと感じたら我慢しない」ことは、
高齢者に限らず、支援者にも大切な意識です。
冷房=悪ではない
「冷房=体に悪い」という印象が根強くありますが、
現代の暑さに対しては“命を守るツール”として冷房を使う意識が求められます。
もちろん、冷房が合わない体質の方もいるため、
「使い方の工夫」や「冷房以外の工夫」を組み合わせて、
無理せず涼しく過ごす工夫を一緒に見つけていきましょう。
冷房を嫌う気持ちも、昔の習慣や体質の影響からくる自然な感覚です。
でも、今の夏は一昔前とは違う厳しさがあります。
訪問看護では、その方の感じ方や価値観に配慮しつつ、
体調や生活スタイルに合った涼しさの工夫を提案しています。
「なんだかだるい」「最近疲れやすい」など、
夏バテや脱水のサインが見られたら、どうぞ無理せずご相談ください。


