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“やりたくない”には理由がある。でも、放置していい? 嫌がるケアを後回しにしないために

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“やりたくない”には理由がある。でも、放置していい?
 嫌がるケアを後回しにしないために

“やりたくない”には理由がある。でも、放置していい? 嫌がるケアを後回しにしないために

2025/09/08

「“本人が嫌がるから…”でケアを後回しにしていませんか?」
ご家族からも、訪問看護の現場でも、よく耳にする何気ない会話です。

入浴や爪切り、口腔ケアなど、日常生活に欠かせないケアであっても、
「嫌がる」「怒る」「逃げる」などの反応があると、ついそのまま放置してしまいがちです。
ですが、その“少しの先延ばし”が続くことで、
気づかぬうちに大きな健康リスクや、生活の質の低下につながることもあるのです。

苦手なケアを避ける理由は「ワガママ」ではなく、
「恥ずかしい」「寒い」「過去に痛かった」「不安がある」など、多様な背景があります。

とはいえ、後回しにされるうちに不衛生だけでなく、
転倒リスク・感染リスク・食事低下など深刻な問題につながることも考えられます。

今回は「嫌がるケア」に焦点を当て、
なぜ嫌がるのか、その背景や心理、そして実際に現場で工夫している対応方法を、
医療従事者・家族両方の視点からご紹介します。

嫌がるのは「理由」があるから


「嫌がる=ワガママ」と捉えてしまうと、関係性がこじれやすくなります。
ですが、多くの場合、拒否の背景にはこんな気持ちがあります。

● 恥ずかしさ・羞恥心
 着替えや入浴など、人に体を見られることへの羞恥心。
 自立していた頃との変化への抵抗感

● 寒さ・冷たさへの敏感さ
 特に高齢者は温度変化に敏感。
 特に冬場の入浴・手足のケアがつらいケース

● 過去の痛みやトラウマ
 爪切りや歯磨きのときに痛かった経験が残っている

● コントロール感の喪失
 「今はやりたくない」「いつやるかを自分で決めたい」=拒否ではなく、選びたいという感覚。

これらは“伝え方のバリエーション”であり、心の中のサイン。
背景を理解することで、無理強いではなく寄り添うケアが可能になります。

後回しにされがちなケア


1. 爪切り
・拒否理由:手足の冷え、切られる恐怖、過去の出血経験など。
・放置のリスク:巻き爪、刺さり指、細菌感染、歩行バランスの崩れ、転倒の原因にも。

2. 入浴
・拒否理由:寒さ、体力の消耗、着脱が面倒、恥ずかしさなど。
・放置のリスク:皮膚疾患、血行不良、生活リズムの乱れ、気分の落ち込み。

3. 口腔ケア
・拒否理由:嘔吐感、道具への恐怖、顔を触られる不快感など。
・放置のリスク:口臭、虫歯、歯周病、誤嚥性肺炎、食欲低下。

これらは「見た目にはわからない」不調を引き起こす原因になり、
QOL(生活の質)の低下を招くこともあります。

訪問看護の工夫と、家庭でできる対応策


●看護師からの声かけひとつで変わることも
・「今日は寒いので、お湯を先に使って手を温めましょうか?」
・「全部じゃなくて、手だけケアするのはどうですか?」
・「お好きな音楽を聴きながら、一緒にやってみましょう」
利用者様の気持ちを尊重した「提案型の声かけ」が、
拒否の心理的ハードルを下げるカギです。

●環境の整備
・爪切りや口腔ケアは、照明を明るく、暖房を入れて温かい環境で。
・入浴は浴室を事前に暖め、動線をスムーズに。
・必要に応じて、福祉用具や介助者を導入する。

●道具の工夫
・電動ヤスリや爪切りハサミ、安全ガード付きの爪切りなど。
・スポンジブラシで優しく行う口腔ケア。
・好みの香りの入浴剤や口腔ケアジェルを使うことで、ケアが“心地よい時間”に変わることも。

【事例】
ある利用者様は、口腔ケアを「くすぐったい」と嫌がっていました。
そこで、最初はガーゼに水だけつけて優しく拭くことからスタート。
慣れてきたらフレーバー付き洗口液に変えたところ、
徐々に「気持ちよかった」と受け入れられるようになりました。

家族のNG対応と、代わりにできること


● NG対応例
・「また嫌がってるの?」と叱る
・「そんなことじゃダメでしょ!」と否定する
・無理に押さえつけてケアを進める

これらは利用者様の“尊厳”や“安心感”を奪ってしまい、
次回以降のケア拒否を強化させる原因になります。

● 代わりにできる声かけ
・「無理しなくていいけど、どこか一部分だけやってみようか?」
・「私もやるから、一緒にやろう」
・「終わったら好きなおやつ食べようね」

ケアは、信頼関係の中でしか成立しません。
「やらせる」のではなく、「一緒に取り組む」という気持ちを大切にしましょう。

小さな工夫が、大きな安心へ


ケアを嫌がる背景には、必ず“理由”があります。
「やりたくない」ことを“ワガママ”と決めつけず、
それを知ろうとする姿勢と、寄り添いの工夫が、利用者様の安心感と信頼感を育てていきます。

訪問看護では、毎回が小さなコミュニケーションの積み重ねです。

今日からできることは、
・「どうしたら快適に感じてもらえるか?」と考える
・「できたこと」を一緒に喜ぶ
・「またやってもいい」と思える体験を作る

“嫌がるケア”の奥にある声に耳を傾けることが、よりよい在宅ケアの第一歩です。
ご家族も医療職も、ひと工夫で「嫌がる」が「ちょっとやってみよう」に変わるかもしれません。

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