血圧よりも盲点?脂質異常という“サイレントキラー”に要注意
2026/01/12
「血圧は気にするのに、脂質は忘れちゃう」そんな経験ありませんか?
訪問看護の現場でよくある会話に、こんなものがあります。
「血圧は毎日測ってるよ。でもコレステロール?最近どうだったかな…」
「薬?ああ、コレステロールのやつは体に変化がないし、飲んだり飲まなかったりでね」
血圧計はとても身近にあります。でも、脂質は数ヶ月に一度の血液検査でようやく思い出すもの。
そんな空気、医療者である私たちも日頃感じているのではないでしょうか。
しかし、症状がなく“静かに進む”脂質異常も、
血圧と同じくらい見落としてはいけない重大なリスクがあります。
放置すれば、ある日突然、心臓や脳の血管を塞ぎ、命に関わるほど大きな影響を与えることがあります。
まさに、“サイレントキラー”。
だからこそ、今日あらためて、この見過ごされがちな脂質異常について一緒に考えてみませんか?
脂質異常がなぜ危険なのか?心筋梗塞・脳梗塞の引き金になるメカニズム
● 脂質異常は「症状がないまま進む病気」
まず、脂質異常とは、血液中のコレステロールや中性脂肪が基準より高くなっている状態です。
しかし、ここが大きな落とし穴。
痛みも、息苦しさも、ふらつきもない。
つまり、本人も家族も、そして時には医療職でさえ危機感を持ちづらいのです。
● 気づかないまま血管が傷んでいく
脂質のバランスが崩れると、余った脂が血管の内側に少しずつ蓄積します。
これが「プラーク」と呼ばれ、血管の壁を徐々に厚く硬くしていきます。
これは、まるで排水溝に油汚れが少しずつ溜まっていくようなもの。
最初は全く気づきませんが、じわじわと詰まりの準備が進んでいる状態です。
● そしてある日突然、命に関わる事件が起きる
動脈硬化が進んだ血管では、以下のことが起こりやすくなります。
・プラークが破れる
・血小板が集まり、血栓(血のかたまり)ができる
・その血栓が血管を塞ぐ
これが心臓の血管で起きれば心筋梗塞、脳の血管なら脳梗塞です。
しかもこれらは、ある日突然、何の前触れもなく起こります。
利用者様の生活が一変するだけでなく、
後遺症によってこれまでの日常が戻らないことも多々あります。
脂質異常が危険と言われる理由は、まさにここにあります。
「何も症状がないのに、重大な発作に直結する」これほど怖い病気はなかなかありません。
訪問看護の現場から見える 「大丈夫だと思ってた…」を防ぐために
✔️ あるある①:薬の自己中断
「コレステロールの薬なんて、別に気分も悪くないし」
「数年飲んだけど、効果を実感しなかったからやめた」
こうした言葉を、ご家族から聞くことがあります。
服薬は「嫌なもの」「無意味なもの」と感じられがちで、中断や飲み残しが起きやすいのです。
実際、ある利用者様は中止から半年後、再検査で数値が大きく悪化し、
医師から薬の再開を勧められたことがありました。
✔️ あるある②:血圧ばかり気にして脂質は忘れる
訪問で血圧測定や体重管理は日常的に行う一方で、
「コレステロールや中性脂肪についてはたまにしか聞かない」
「忘れていた」という方が多数。
そのため、脂質異常の存在自体を、本人もご家族も忘れがちです。
看護師としてできる支え ― 日常と未来の健康をつなぐ視点
脂質異常は、利用者様自身も症状がないため「緊急性が低い」と判断しがちです。
だからこそ、訪問看護のサポートがとても大切になります。
・「なぜこの薬が必要か」を、利用者様やご家族の生活に即して説明する
―ただ「数値のため」と言うのではなく、
「将来の心臓や脳の病気を防ぐため」という視点で伝え
未来の健康のイメージを持っていただくことで、服薬の意義がぐっと伝わりやすくなります。
・飲み忘れ防止の工夫
―服薬タイマー、カレンダー、訪問時の声かけなど。小さな支援が、継続の鍵になります。
・血圧だけでなく、脂質の数値や生活習慣も含めた見守り
―食事内容のチェック、運動の機会の確保、食後の休息や体温管理など。
日常の中で「脂質を意識する」ことを習慣化する。
また、ただ数値を管理するだけでなく、
「良くなったね!」「努力の成果ですね」と
ご本人やご家族と一緒に喜べるような雰囲気づくりも大切です。
反対に悪化したときも
「一緒に原因を探してみましょう」と寄り添う。
このような“伴走の姿勢”が、継続の大きな力になります。
今日からできる、小さな一歩
脂質異常は、高血圧のような「見える不調」がないからこそ、軽視されがちです。
でも、その静かな進行が、
将来の大きな病気――心筋梗塞や脳梗塞――の引き金になる可能性があります。
訪問看護では、
「数値」だけでなく「暮らし」のなかで脂質に目を向ける支えを提供できます。
もし、コレステロールの薬を「別に必要ないかも…」と感じていたら。
もし、毎日の食事や運動で「昔ほど無理できないな…」と思うようになっていたら。
どうかその感覚を否定せず、
「もしかしたら放っておくと怖いことにつながるかも」と考えてみてください。
服薬の意味、数値の変化、小さな生活習慣。一緒に見直してみませんか?
そのひとつひとつが、利用者様の未来の健康を守る大切な一歩です。
バナナの葉訪問看護ステーションでは、
千葉県の市原市・木更津市・袖ケ浦を中心に訪問を行っています。
「これって相談してもいいのかな?」と思うような小さなお困りごとでも、
どうぞ遠慮なくお話しください。
病気的なことだけでなく、日々の暮らしの中で感じる不安や悩みにも、
そっと寄り添える存在でありたいと願っています。
また、利用者様やご家族に寄り添うケアを一緒に届けてくださる仲間も、随時募集しています。
訪問看護が初めての方でも、ブランクのある方でも大歓迎です。
私たちと一緒に、地域の“暮らし”を支えるチームの一員になりませんか?


