「伝わっているのかな…」と悩んだときに 訪問看護が大切にしている“ことば以外”のコミュニケーション
2026/06/22
「ちゃんと気持ちを受け取れているのかな…」
訪問看護の現場では、ときどきそんな不安を感じることがあります。
病気や加齢によって、
言葉でのコミュニケーションが難しくなる利用者様は少なくありません。
・うまく話せない。
・声が出しづらい。
・返事に時間がかかる。
そんな場面で、ご家族も支援する側も、
「本当は何を伝えたいのだろう」と戸惑うことがあります。
私自身も看護学生時代に文字で書かれた言葉を読み違えてしまい、
「ちゃんと寄り添えなかったのではないか」と落ち込んだ経験があります。
“気持ちを間違えて受け取ってしまう怖さ”を感じたあの経験は、今でも忘れられません。
でも、訪問看護の現場で多くの利用者様と関わる中で、少しずつ感じるようになりました。
コミュニケーションは、「正解を当てること」だけではない。
「わかろうとし続けること」が、とても大切なのだと思います。
今回は、訪問看護が大切にしている“ことば以外のコミュニケーション”についてお話しします。
話せなくなっても、“伝えたい気持ち”は残っている
在宅療養の現場では、言葉での会話が難しくなる場面があります。
例えば、
・脳梗塞の後遺症による失語症
・ALSなどの神経難病
・認知症の進行
・ターミナル期の全身状態の変化
などです。
言葉が少なくなると、ご家族は不安になります。
「何を考えているかわからない」
「苦しいのか、嫌なのかがわからない」
「ちゃんと気持ちが通じているのかな…」
そんなふうに悩まれる方も少なくありません。
けれども、言葉が出なくなったからといって、“想い”までなくなるわけではありません。
・表情
・まなざし
・小さなしぐさ
・呼吸の変化
利用者様は、さまざまな形で「伝えたい」というサインを送ってくださっています。
訪問看護では、その小さな変化に気づけるよう、日々の関わりをとても大切にしています。
「待つこと」も大切なコミュニケーション
普段、つい会話を急いでしまいがちになっていませんか。
返事が遅いと、
「聞こえていないのかな?」
「違うのかな?」
と先回りしてしまうこともあります。
でも、言葉を伝えることに時間がかかる利用者様にとって、
“待ってもらえること”は大きな安心につながります。
訪問看護の現場では、
・返事を急がない
・小さな反応を待つ
・表情の変化を見る
・「こういう意味ですか?」と確認する
といった関わりを大切にしています。
一度でうまく伝わらなくても大丈夫。
確認しながら、一緒にコミュニケーションを作っていく。
その積み重ねが、「ちゃんと伝わった」という安心感につながっていきます。
言葉以外にも、伝え合う方法はたくさんある
訪問看護では、その方に合わせてさまざまなコミュニケーション方法を取り入れています。
●表情やまなざしを読む
・少し目を開く
・眉が動く
・口元がゆるむ
毎日関わっているからこそわかる、“その人らしい反応”があります。
うれしいとき。
不安なとき。
安心したとき。
言葉以上に、表情が気持ちを伝えてくれることも少なくありません。
●手を握る、そっと触れる
言葉が出なくても、手を握るだけで安心される方もいます。
・背中をさする
・肩にそっと触れる
そんな小さな関わりが、「ひとりじゃないよ」というメッセージになることがあります。
利用者様がそっと握り返してくださる瞬間に、
私たちも「気持ちはちゃんと通じているんだな」と感じることがあります。
●文字盤やツールを使う
必要に応じて、
・50音ボード
・YES,NOカード
・タブレット
・スマホ入力
・視線入力装置
などを活用することもあります。
「自分で伝えられた」という体験は、利用者様の安心感や自信にもつながります。
訪問看護師は、
ご本人やご家族と相談しながら、その方に合った方法を一緒に探していきます。
ご家族の“もどかしさ”にも寄り添う
話すことが難しくなると、ご家族も大きな不安を抱えます。
「何をしてほしいのかわからない」
「ちゃんと通じているのか不安」
「前みたいに話せなくてつらい」
そう感じるのは、ご本人を大切に思っているからこそです。
だからこそ訪問看護では、
ご本人だけでなく、ご家族の気持ちにも寄り添うことを大切にしています。
「こういう表情のときは安心されているかもしれませんね」
「今の反応、うれしかったのかもしれませんね」
そんなふうに、一緒に“通じ合える方法”を探していきます。
言葉が少なくなっても、関係が終わるわけではありません。
新しい形で、気持ちを伝え合っていくことはできます。
ターミナル期にも、“対話”を続ける
人生の最終段階では、反応が少なくなることがあります。
それでも私たちは、利用者様に声をかけ続けます。
「今日は少し楽そうですね」
「ご家族が来てくれましたよ」
「いつもありがとうございます」
返事がなくても、“人として接すること”を大切にしています。
話せなくなっても、聞こえていないように見えても、
その方の尊厳を守るために、対話をやめない。
それも、訪問看護の大切な役割だと感じています。
コミュニケーションは、「正しく読み取れるか」だけではありません。
・わかろうとすること
・そばにいること
・急がず待つこと
その積み重ねが、利用者様の安心につながっていくのだと思います。
言葉が少なくなっても、伝えたい気持ちは残っています。
そして、ご本人とご家族の“つながり”も、形を変えながら続いていきます。
訪問看護では、そんな大切な時間に寄り添いながら、
「通じ合いたい」という想いをこれからも支えていきたいと考えています。
バナナの葉訪問看護ステーションでは、
千葉県の市原市・木更津市・袖ケ浦を中心に訪問を行っています。
バナナの大きな葉のように、
ご家族みなさまの不安や悩みをやさしく受け止め、
お一人おひとりの【大切なつながり】にそっと寄り添える存在でありたいと考えています。
「これって相談してもいいのかな?」と思うような小さなお困りごとでも、
どうぞ遠慮なくお話しください。
病気のことだけでなく、日々の暮らしの中で感じる不安や悩みにも、
安心してお話しいただける関係を大切にしています。
また、利用者様やご家族に寄り添うケアを一緒に届けてくださる仲間も、随時募集しています。
訪問看護が初めての方でも、ブランクのある方でも大歓迎です。
私たちと一緒に、地域の“暮らし”を支えるチームの一員になりませんか?

