訪問看護で役立つ3Dプリンター活用術
2025/02/08
訪問看護の現場では、患者さんのニーズに応じた多様な工夫が求められています。特に、高齢者や障害を持つ方との関わりにおいては、その生活をより快適にするための創意工夫が必要不可欠です。そこで、近年注目を集めているのが3Dプリンターの活用です。この技術は、個々の患者に合わせたオーダーメイドのアイテムを製作できるため、生活を支えるさまざまな問題を解決する可能性を秘めています。訪問看護の現場における3Dプリンターの具体的な活用方法や、ちょっとした悩みの解決に役立つアイデアを提供できることで患者さんの生活の質を向上に繋がります。
目次
訪問看護の現場での新しい挑戦:3Dプリンターの可能性
訪問看護の現場では、個々の患者さんのニーズに対応するための工夫が不可欠です。最近の技術革新の一つである3Dプリンターは、特にその可能性を広げています。例えば、高齢者のために適切な握り具合のカップを作成することで、飲み物をこぼさずに自分で楽しむことができるようになります。また、障害を持つ方には、日常生活で使用する道具や補助具をオーダーメイドで提供することが可能です。これは、患者さんが自立した生活を送るサポートにつながります。 さらに、3Dプリンターで制作したアイテムは、コストパフォーマンスにも優れています。設計データがあれば、必要に応じてすぐに印刷できるため、急なニーズにも対応できます。このような新しい挑戦を通じて、訪問看護の質を向上させ、患者さんの満足度を高めることが期待されています。
高齢者や障害者のためのオーダーメイド生活アイテムの制作
訪問看護の場面で、高齢者や障害者に合ったオーダーメイドの生活アイテムを3Dプリンターで制作することがますます重要になっています。この技術は、個々の患者のニーズに応じた特別な道具を迅速に作成できるため、これまで手作業でモノづくりを行ってきた看護師やセラピストの負担を軽減し、患者の自立を促す助けとなります。 例えば、インスリン自己注射が毎日必要な患者さん。握力が低下ししっかり握れないお悩みがあり、手にフィットしたグリップを作成しました。市販にも売られてはいますが、利用する方の握力や手の大きさ等には個人差があるため、きちんとフィットしないと【しっかり握って自己注射ができる】という最終目的が達成されません。こうしたアイテムづくりには、患者さんからのお悩みの発信は勿論ですが、日々訪問の中で、患者さんとのコミュニケーションから医療者目線で気付いた「○○だったらもっと楽にできるのでは?」といったアイデアが必要になります。
患者の困りごとをどう解決するか:必要な目線
こうしたアイテムづくりには、患者さんやご家族からのお悩みの発信が不可欠です。とはいえ、できないことが当たり前に感じている方も少なくないので、自ら声に出すことも多くはありません。そこで、日々訪問の中での患者さんとのコミュニケーションや、日常を知っているからこそ気付けた医療者的目線で「○○だったらもっと快適に生活できるかな?」といったアイデアが重要になります。当ステーションには看護師、理学療法士、作業療法士が所属しており、それぞれの専門職ならではのアセスメントがあるからこそ思いつくアイデアも大きいのです。また一人では気付けないことも、多職種が集まることで解決に繋がることがあります。患者さん、ご家族、訪問看護スタッフがチームとなることで、患者さんの生活の質が向上されるのです。
創意工夫が生む快適な生活:訪問看護の3Dプリンター活用術
訪問看護の現場で、3Dプリンターの活用はますます重要性を増しています。特に、高齢者や障害を持つ患者の生活を支えるために、個別に合ったアイテムの制作が可能になるのです。内服管理をする中でお薬カレンダーやお薬BOXを利用している方が多くいらっしゃいますが、セットはできても実際に服用する際に「うまく取れない」という悩みはよく聞かれます。「錠剤がヒートのままだと開けにくい」「多すぎて管理が大変」ということで一包化に変更することも多いですが、セットした時は大丈夫でも、最後の1個になると空いたスペースによりうまく取れなくなることも訪問の現場ではあるあるです。その際にBOXの中にいれるアイテムを作成したことで残り1個になっても問題なく取れるようになりました。患者さんのちょっとしたお困りごとに対応することができ、お薬の飲み残しも予防できるようになりました。また、家族が抱えるちょっとしたお困りごとに対しても、3Dプリンターを使えばカスタマイズした解決策を提供できるのが魅力です。例えば、薬の飲み込みやすさを改善するための特別なカップや、衣服の着脱が容易になるクッション具といったアイデアも実現可能です。3Dプリンターは、訪問看護における新たな選択肢として、多くの患者さんの心強い味方となるでしょう。
成功事例紹介:3Dプリンターが支える生活の質向上
最近、訪問看護の現場で3Dプリンターが大いに活躍しています。この技術を使うことで、患者それぞれのニーズに応じたオーダーメイドのアイテムを迅速に製作できるのです。例えば、歩行が困難な高齢者のために特注の杖ホルダーを作ることで、生活の質が大きく向上します。さらに、装具や義肢のフィッティングが改善されることで、身体の負担を軽減し、動きやすさを実現します。実際の成功事例として、ある訪問看護のスタッフは、患者の要望に応じて個別の食器を3Dプリンターで作成しました。これにより、患者が自分で食事を楽しむことができ、独立心を高める一助となりました。また、看護師が簡単にメンテナンスできるアイテムを作ることで、業務の効率も向上します。3Dプリンターの導入は、訪問看護の現場に新たな可能性をもたらしています。
未来の訪問看護:3Dプリンターで広がる可能性と展望
訪問看護の現場では、3Dプリンターの導入が便利だということは理解できても、プリンター自体が高額であること、またプログラム作成すること自体が非日常業務となり、使いこなせるのか?といった大きな壁があり導入できているステーションはまだ多くないと思います。しかしながらその可能性は無限大です。市原にある当ステーションでは患者様から使用しなくなった3Dプリンターを譲り受けました。私たちが、少しづつ患者さんのニーズに合わせたアイテムで日常生活を支える助けとなり、またそれを発信することで、他の訪問看護ステーションにも導入が進むよう微力ながらお手伝いできればと思います。3Dプリンターは地域での生産が可能なため、特に訪問看護のような移動型サービスにおいて迅速な対応が期待できます。今後、技術の進化とともに訪問看護における3Dプリンターの活用で、より多くの患者さんに寄り添ったケアが実現できることを期待しています。